『失語症』という言葉を耳にしたことはありますか?今回は人とのやり取り(コミュニケーション)に支障が生じる『失語症』という症状についてやその原因、リハビリテーションについてお伝えします。
失語症とは
聞いて理解すること・話すこと・文字を読んだり書いたりするといった言葉を使うことに不自由が生じることをいいます。人とのやり取りで必要な能力に困難さが生じる為、日常生活でのコミュニケーションに支障が生じてしまいます。頭の中では言いたい言葉が浮かんでいるのに口に出そうとすると言葉にならない・思っている言葉と違う言葉を言ってしまう・ほかの人から言われていることが分からないなど様々な症状がみられます。「話すことが出来ないなら文字を使おう」と50音表などの使用が提案されることもありますが、一般的に失語症の方にとって50音表は有効ではなく(文字と音が合致しない・文字の並び順が分からないなどの症状があるため)、図や写真・LINEスタンプなど言葉ではない情報を使用した代替的な手段が有効であるとされています。また、状況を理解し判断するなどの認知機能は保たれていることが多く、「何も出来なくなる」わけではありません。
失語症の原因
脳梗塞や脳出血など脳の血管に起こる障害や事故などの外傷により、脳の言語をつかさどる部位(言語野)が損傷することで起こります。
失語症のリハビリテーション
現れている症状に応じて専門家(言語聴覚士)による言語聴覚療法を行います。内容としては言葉の表出を促すような関わりなど、それぞれの症状に応じて様々な方法で介入を行います。また、代替的コミュニケーション手段と呼ばれる言葉を使用せずにコミュニケーションを取る方法を行うこともあります(ジェスチャーや絵カードを使用する等)。
失語症の方との接し方
失語症の方とのコミュニケーションでは、聞き手側が工夫することでコミュニケーションが取りやすくなることがあります。
- 何かを伝える際は短く簡単な言葉で伝える
- 話し言葉だけでなく、文字や写真・ジェスチャーなどを使用する
- YES/NOで答えられるような質問をする
- 相手の話を急かさずに待つ
などの工夫を行うことができます。
まとめ
失語症の症状は様々であり、症状に合わせたリハビリテーションが必要となります。回復はゆっくりであり完全に元の状態に戻ることは難しいこともあります。また、話せていたのに話せなくなるというのは当事者の方や家族にとってはなかなか受けいれることができないこともあります。当事者の方やその家族が生活しやすい環境になるよう、失語症の症状や接し方の工夫などの理解が広まることを願っています。
この記事の監修者
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認知症や多疾患をもつ高齢者など高齢者医療を専門としながら小児から生活習慣病をはじめ内科一般にまで対応。地域で暮らし続けるために家族関係や諸制度なども視野にいれた医療を実践している。
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