「介護休暇」と「介護休業」の違い
「家族の介護」は突然的かつ長期的な対応が求められます。
会社を休むことが増えて、「退職」の文字が頭をよぎることがあるのではないでしょうか。
そんな時に使えるのが、労働者が仕事と介護を両立できるように定められた制度である介護休暇、介護休業、介護休業給付金です。
今回はこの3つの制度についてお話ししたいと思います。
介護休暇とは?
家族を介護するために短期間の休みを取得できる制度です。
介護休業とは?
家族を介護するために長期間に休みを取得できる制度です。
介護休暇と介護休業の違い
介護休暇 | 介護休業 | |
---|---|---|
対象者 | 要介護状態にある家族の介護をする労働者(日雇いを除く) | |
介護の対象者 | 事実婚を含む配偶者、父母、配偶者の父母、祖父母、子、兄弟、姉妹、孫 | |
期間 | ・年間最大5日間取得可能 ・2人以上の場合は最大10日間取得可能 ・時間単位で取得可能 |
・対象家族1人につき最大93日間まで取得可能 ・3回に分けて取得可能 |
申請方法 | 口頭や当日の電話でも可能。書面での申請を強制されていない | 休業開始予定日の2週間前までに、書面などで申請 |
給付金の有無 | なし | あり |
給与の有無 | 就労先による | なし |
取得理由 | 対象家族の介護や通院の付き添い、介護サービスの手続き代行、ケアマネージャーとの打ち合わせなど |
介護休暇や介護休業は会社に対して行うため、会社のルールに従って申請しましょう。
介護休業の給付金
介護休暇には給付金等の公的な支援はありません。
会社によっては賃金が支払われる可能性があるので、勤めている事業主に確認しましょう。
介護休業には介護休業給付金制度があります。
雇用保険の被保険者で一定の要件を満たす場合、介護開始時賃金日額×支給日数×67%が支給され、以下の条件を満たした労働者が受給できます。
- 介護休業の開始日前の2年間に12ヶ月以上雇用保険に加入していること。
- 職場に復帰することを前提として休業すること。
介護休業給付金の申請手続きは、原則として会社が行いますが、希望があれば労働者本人も行えます。
介護休暇と介護休業どちらがおすすめ?
・介護休暇は当日申請が可能で、1日単位でも半日単位でも申請できるので、突発的な休みや短時間の休みが必要な際に利用すると良いでしょう。
なお介護休暇は無給であるケースが多いので、この点をネックに感じる場合は有給休暇をとることも検討しましょう。
・介護休業は長期に渡る休みを取得できるので、介護をすることに加えて、仕事と介護を両立するための準備期間として利用すると良いでしょう。
介護施設へ入居する際の諸手続きは煩雑なので、落ち着いて進めるためにも介護休業の取得がおすすめです。
さいごに
いかがでしたでしょうか。
介護と仕事の両立は、社会で働く誰にもその可能性があり、誰にとっても身近な問題です。
自身の家族に介護が必要になった時、適切な判断がとれるように、介護休暇と介護休業についての理解を深めておきましょう。また、職場によっても対応が異なることが多いので、一度ご自身の職場に確認をとってみるのも良いかもしれません。