家で看取る

 あいち診療所はもともと在宅医療を行う目的で開設されました。この22年間で私たちが在宅でかかわった方はおよそ1000人になります。家で看取らせていただいた方は約300名、そのうち半数が悪性腫瘍の方でした。

あいち診療会の在宅患者様の転帰 悪性腫瘍で私たちがかかわった方の6割の方がそのまま家で最期をお迎えになりました。
 悪性腫瘍でない方のうち、家でそのまま亡くなられた方が約2割であることと比較すると悪性腫瘍の方の方が家で看取りやすいと言えるかと思います。

 その理由はいくつかありますが、その主なものは期間が限定してご家族ががんばれるということ、病院でできることに限りがあり、高額な医療機器を使用した検査や治療の恩恵にあずかれないことが挙げられます。

 私は多くの悪性腫瘍の患者さんとお付き合いさせていただき、悪性腫瘍の終末期は病院よりも家の方がいいと思っています。その最大の理由は家族が生活をしながらそばにいられるということです。病院の病室に付き添って身の置き所のなさを感じたことがある方は少なくないのではと思います。

 ご家族との時間を過ごすとき、何もすることなくそばにいるということは日常生活の中でほとんどありません。心細い時にそばにいてほしくてもベッドサイドにすることもなく座っていられたら患者さんも落ち着かないのではと思います。

 もしも大切な方の残りの時間が少ないと宣告されたのであれば一度家で看ることも考えてみてはいかがでしょうか。
 病院では一人の看護師が7人の患者さんを診ています。逆に言えば7分の6の時間は患者さんは一人です。家ではたいていどなたかがそばにいて差し上げることができるのです。

 私達はそのお手伝いをさせていただきます。