私のおくのほそ道 其の弐
あいち診療所滝の水 院長 岡崎 嘉樹
今から三三五年前の元禄二(一六八九)年、松尾芭蕉翁は東北に旅立った。この時、芭蕉の年齢は四十六歳である。四十六歳と言えば、現代ではまだ壮年、働き盛りと考えられる。しかし、当時は人生五十年といわれ、「翁」と呼ばれていた彼はかなりの年齢であった。実際、芭蕉は五十一歳で亡くなっている。
松島へ
松島(宮城)は日本三景(松島・厳島・天橋立)の一つであり、芭蕉も「とても句を詠める状態ではなく、感動で眠れなかった」ほどである。しかし二〇一一年の東日本大震災で松島も津波で打撃を受けた。昨年、私が訪れた時は所々に爪痕は残っていいたが、遠めに見ると何事もなかったかのように松の緑は復活していた。
津波にも色変えぬ松青々と
平泉へ
平泉(岩手)の中尊寺は、藤原三代の栄華を象徴する金色堂が有名である。金色堂は外観も、中の阿弥陀如来像も金箔で光り輝いていた。柱や如来像台座等にも銀や螺鈿の彫刻が施され、銀色の雲に浮いているようだった。
秋雨や螺鈿の雲に笑む如来
花巻へ
花巻(岩手)は、かつては「銀河鉄道の夜」を書いた宮沢賢治が有名であった。しかし、今や花巻と言えば、なんといっても大谷翔平である。彼の活躍にはいつもワクワクさせられる。彼が本塁打五十・盗塁五十の記録を達成できるように、私は腕立五十・腹筋五十を自分に課して、彼を応援している。
翔平は銀河を越えて輝いて
人生の旅へ
おくのほそ道は「月日は百代の過客にして、行きかふ年もまた旅人なり」で始まる。年、月、日という時間は永遠の宇宙から見れば、一時的に訪れた旅人のようなものだということであろう。芭蕉は人間もまた時間とともに人生を旅していると考えていた。私もその時その時の時間を大切にし、これからも人生を旅して行きたいと思っている。
私が大切にしていること
あいち診療会
事務長 藤本 隆浩
私が大切にしていることは「人とのつながり」です。
私たちは社会的な生き物であり、他者との関係が生活に大きな影響を与えます。友人や家族、職場の同僚とのコミュニケーションを通じて、人間関係を学び広げるだけでなく、新しい知識やスキルを身に着ける機会になります。心許せる方との出会いは喜びや悲しみを分かち合える大切な存在になります。また、偶然の出会いは視野を広げ新しい事を発見できるきっかけとなります。
昨今、何かとデジタル化が進み「人とのつながり・出会い・縁」が希薄になってきたように思います。だからこそ、私は繋がり・出会い・縁を大切にし、そのことに感謝して日々過ごしていきたいと思います。
診療所でウロウロしていたら是非お声かけ下さい。
重度心身障がい児・者受け入れサービス
滝の水 憩いの学校
介護福祉士 近藤 眞理子
憩いの学校に携わるようになってから日々思っていたのは、利用してくれる皆さんが笑顔をみせてくれるように努めたいということです。いつもと違う場所、ご家族と離れて過ごす時間をご本人は楽しんで、そしてご家族様が安心して預けていただけるような場所にしたいと思ってきました。
日々色々なことがあり、ドキッとさせられることも、させてしまうこともあったりしますが、こんなことで笑ってくれるの?という時、何かをして一緒に笑い合える時、ご家族様から「楽しかったみたいで家でもご機嫌でした」とお知らせ頂いた時は本当にうれしくなります。
皆さんが楽しいと思ってくれる、笑顔をみせてくれるためには、まずは自分が楽しむことだと思っています。日々の中で皆さんの様々な表情を見つけることでまた自分の中に楽しいが生まれています。この想いが皆さんの”楽しい“につながるように、楽しむことを大切にしていきたいと思います。
のなみ訪問看護ステーション
看護師 三浦 有紀
私が看護師として大切にしている事は、自分の価値観を押し付けるのではなく相手の思いを大切にしようと心掛ける事です。
私が在宅医療に携わるようになり二年が経ちました。以前は病院で勤務をしていたため、その思考のまま訪問し「もっとこうしたら生活しやすくなるのに・・・」と幾度となく思うことがありました。しかし、それは医療者側の目線だったと気付かされました。
在宅では患者様はもちろん、御家族の意思や生活の質が何よりも重要視されます。患者様が自分らしく過ごせるように医療面から支えることが訪問看護師の役割です。病院のように24時間管理はできないため病状の安定、生活の質の維持を図るために患者様や御家族のセルフケア能力を高めなければなりません。そのため自分本位の看護に陥らないように患者様や御家族との意向を確認し、疾患の理解を深め不足している分野の知識は学び補いながら個別性のある寄り添った看護提供をしていきたいと思います。
憩いの学校
野並通所リハ
新生児の予防接種から在宅看取りまで
患者さまからのお便り紹介
かきつばた(夏号)滋野 昌子様
かきつばたに出会ってからの愛読者です。新年号(2024年度)一面に先生方のプロフィール楽しく拝見致しました。けふは月に一度の診察日です。受付の棚に並んだ「かきつばた」夏号を発見じっくり読もうと頂いて帰る事にします。先ず題字「かきつばた」の文字に花の紫が美しいですね。(花言葉は高貴・幸せ)そして岡崎先生の東北への旅・松尾芭蕉・奥の細道の言葉に国語の時間を思い出しつつ温泉街・蔦沼の紅葉の写真各々に俳句を詠まれ大変感動致しました。居ながらにして私も旅の気分を分けて頂いた次第です。「野並通所リハ」知人が通っています。風呂・体験・脳トレ・コーヒータイムはともあれお昼御飯のおいしさを話してくれました。その御膳の写真を今眺めています。小竹様のコメントに心して読みました。いつの日か私も食したいです。「憩いの学校」生徒の皆さんが楽しそうに桜を見上げている笑顔に心が和みます。かきつばたには先生方スタッフ皆さま全員の優しさがぎっしりとつまった宝物です。此の花が末永く咲き続ける事を願って次号を楽しみに待つ私です。
かきつばたの花芯に遊ぶ蝶真似て
頬寄せてみむ花びらやはき
かきつばた庭に眺めめてポストへと
行くさ帰るさわが姿(なり)のよし
(滋野様の短歌はしばしば新聞の歌壇に掲載されています)