地域共生を支える・医療・介護・市民全国ネットワーク 第2回全国の集いin NAGOYA 2023

理事長 畑 恒土

あいち診療所 野並
理事長 畑 恒土

 地域共生を支える医療・介護・市民全国ネットワーク第2回全国の集いは9月17日18日に名古屋のウインクあいちで開催されました。このネットワークは現在のあいち診療所野並が建設された翌年の1994年に当院で結成準備会が行われ、27年続いた診療所市民全国ネットワークが地域医療研究会と統合し、発展継承させたものです。医療関係の大会のほとんどは医師が中心になって企画されていますが、この大会は医療関係者以外の発表も多く、専門用語を使わないことを基本とする大会です。

 あいち診療会は開設以来在宅医療に積極的に取り組んできましたが医療保険と介護保険だけで幸せに暮らすことは困難です。「地域共生社会」と盛んに言われますが、地域での助け合いで何とかしなさいということです。医療者だけでできる話でないのでみんなで知恵を出し合おうというのがこの会です。

 今回は「野並日本一の会」事務局長松本はるみさんの発表もあったことから健康カフェに参加する最高82歳までの10人以上が参加され、初めて経験したこの大会がとても楽しく、有意義だったと口々に言ってくださいました。あいち診療会は病気を見るだけでなく、この地域がお互い助け合うことのできる地域になることを願っています。ちょっとした困りごとについても、外来で相談いただければ幸いです。

あいち診療所 野並
院長 野村 秀樹

 今回の大会は医療・看護・介護分野の話題にとどまらず、難民問題や環境問題、LGBTQなど社会の様々なテーマが取り上げられ、まさに「地域共生」社会を考えさせる大会でした。その中で二つほど報告をします。

【シンポジウム】「住民の健康はだれがどう守るのか」私と理事長の畑がコーディネーターを務めました。大阪の岡崎和佳子さんが生活を支える為に時間・場所を問わず訪問看護に入った報告からスタート。岐阜の平田節子さんからは「新しい健康」と沢山の「幸せ」と出会う場にしたいとの想いから場所を提供しそこで住民の様々な活動が生まれる診療所の話。次に地域とのつながりでより良い緩和ケアを模索している川崎市の西智弘さんの報告。最後は役所や専門家任せではなく時間がかかっても煩わしくても住民が主体となる街づくりを目指した前長久手市長吉田一平さんの報告。これからの診療所の役割のひとつとして地域の人々が集まりつながりをつくることの重要性を感じました。

【実践交流会】全国の各現場での活動を報告する場。当法人から5名が日頃の業務での工夫や考えたこと等を発表しました。私は「地域連携」のセッションで司会をしましたが、訪問看護師やリハビリ職などから多くの熱のこもった報告がありました。特に印象に残ったのは地域住民主体での地域づくりの報告(野並地区からも報告あり)でNPO地域共生らしい発表でした。

大会での発表をおえて

『デジタルを活用したツールを導入してみえてきたこと』

重度心身障がい児・者受け入れサービス
滝の水 憩いの学校
介護福祉士 近藤 眞理子

 憩いの学校では『デジリハ』というものを今年の2月から導入しています。『デジリハ』って何?から始まったのですが、色々なツールを使ってみて皆さんの表情が変わったり、大きな反応をしてくれたり・・。その中で、おもしろみのなかった座位訓練を、楽しんで取り組めるようになった方の症例を、動画を交えて紹介しました。もう1例、写真のみではありましたが、ご本人のモチベーションアップにつながった症例もご紹介しました。時間の関係で、皆さんが取り組んでくれた様子や私たちスタッフの驚きと歓喜の動画を十分にはご紹介しきれなかったかなとは思っていますが、デジリハを今後どんな風に活用していくべきかがみえてきたように思っています。一人ひとりにどんなツールを使用すればしみながら、リハビリにもつながっていくかを試行錯誤しながら進め、憩いの学校で定期的に行っていけるようにしていけたらいいなと思っています。

『フレイル予防を見据えた管理栄養士の役割』

あいち診療所野並
在宅栄養専門管理栄養士
安藤 満里

 フレイルとは、健康と要介護状態の中間状態で、要介護状態予備軍のようなものです。フレイルを予防する事は、健康寿命を延ばす=自分のやりたい活動を、不自由なく自由に楽しむことができる。ということに繋がります。

 一見自立した生活を送れている通院患者の後期高齢者の内、8割以上に「身体機能」「口腔機能」「認知機能」「社会的関わり」の低下によるフレイルがみられ、フレイルの早期予防の重要性を感じます。管理栄養士としては、単なる食事指導だけでなく、精神的サポートや社会的関わりをつくることを含めた栄養管理を手助けする役割も担います。

 発表を通して、人や社会と繋がることは、人生を楽しみ生きる意欲になり食べる意欲にも繋がる大事な事だ、と改めて認識しました。かかりつけ管理栄養士になりますので、小さなことでも気軽に相談して下さい。

『七コロび八起き コロナ禍から学んだこと』

通所リハビリテーション
介護福祉士 奥西 明人

 こんにちは。暑さも少し和らいで過ごしやすくなってきましたね。通所リハビリテーションでケアをさせていただいています、奥西と申します。まだまだ暑かった9月17日、名古屋では「医療・介護・市民全国ネットワーク」が開催されました。全国から多くの参加者が集まり、会場では立ち見の方も出るほどで、猛暑に負けないほどの熱気を感じました。私は今回「七コロび八起き~コロナ禍から学んだこと~」というテーマで発表させていただきました。内容としては、コロナウイルスにより感染対策や活動の制限などを余儀なくされましたが、大変だったで済ますのでなく、ポジティブなこと、学びもあったのではないか?というものです。

 コロナ禍において、健康や衛生への意識が向上したのはもちろんですが、制限下でもさまざまな工夫をしてレクリエーションやイベントを開催できたこと、多くの学びや経験があったと思います。できないで諦めるのではなく、できる方法を考えることが大切ということです。考え方や向き合い方次第ですね!

10月現在もコロナに加えインフルエンザも流行してきていますが、感染に気を付けて元気に前向きにいきましょう!

『なぜ訪問看護記録が訪問中に書けないのか』

のなみ訪問看護ステーション
訪問看護師 三浦 有紀

 訪問記録が現場で書けない人が大半となっているため、スタッフへ記録の聞き取り調査を行い、現状把握と対策を立て、実践の取り組みを行いました。実践を通しての変化に加え、現在と以前の記録様式を比較し今不足している部分はなにかを考え発表しました。

 発表をおえて「やっと終わった。長かった!!」という思いが一番にあります。三浦さん出てみない?「はい。分かりました」といった感じで引き受けてしまい後々とても後悔しました。しかし、畑先生はじめ沢山の方のご尽力のおかげで無事やり遂げる事が出来ました。私は入職して一年余りのため、仕事をこなす事が精一杯で記録に対する意識付けも低かったと思います。しかし、今回の取り組みで記録を訪問中に書く目的や今後の課題も見出すことが出来ました。今回の経験を今後の糧にし更に良い看護の提供が出来るように頑張って行きたいと思います。いい経験を与えていただきありがとうございました。

『言語外来における地域で暮らす子どもたちへの支援』

あいち診療所野並
言語聴覚士 松浦 麻香

 今回、「言語外来における地域で暮らす子どもたちへの支援」というテーマで発表をさせていただきました。

 言語外来に通っている子どもや保護者さまの悩みや不安は、訓練室の中で全てを解決することは難しいため、子どもの生活活動の場である地域と連携し、周囲の環境を整える必要があります。そのため、当院で実際に行なった連携を例に、「子ども一人ひとりがその子らしさをもって地域で暮らし続ける」ということの意義を考えました。

 今回、初めての大きな会場での発表でとても緊張しました。発表を通して、言語聴覚士という職業を一人でも多くの方に知ってもらい、言葉の悩みを抱えた子どもや保護者が適切な支援を受ける事が出来たら良いなと思います。私も地域のST(言語聴覚士)として、専門的な視点から地域の子どもや保護者を支援し、子ども一人ひとりがその子らしさをもって暮らし続けるために何が出来るのかを今後も考えながら支援していきたいと思います。

滝の水 憩いの学校