「居宅等における医療の確保に関する事項」の見直しについて、厚生労働省へ意見を提出しました。
あいち診療会では20年の在宅医療への取り組みの中で、在宅医療における看護師の役割を非常に高く評価しています。入院医療が病気の治療のために生活を中 断して受ける医療であるのに対して、在宅医療は生活の中に医療サービスを持ちこむものです。生活過程を整えることを専門とする看護師が活躍するのは自然な 成り行きと言えるでしょう。
私たちの提案は
- 在宅医療にナースコール制を導入する。
- 医療連携のキイに訪問看護ステーションを活用する。
- 病院病床の一部をナーシングホームとして活用する。
の3つを柱としています。
1) 在宅医療にナースコール制を導入する。
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ナースコール制は家族の教育にも力を発揮します。もともと医師と看護師の役割は全く異なり、医師は病気を主な対象とするのに対して、看護師は生活過程を対象とします。医師の役割は家族には荷が重いのですが、看護師の行為の多くは家族が代わって行うことが出来ます。
患者家族が必要とする事の大半が生活過程の調整で解決してしまいます。(往診・医師の指示43、看護師の報告、看護師のみの対応81)患者のコールの大半は看護師で解決可能であり、その解決の過程こそ患者教育の絶好のチャンスです。
ナースコール制は在宅主治医の夜間時間外の肉体的ストレスを大きく減らします。開業医が30人の在宅患者を受け持っても、昼夜合わせて月に1回の臨時出動で対応が可能になるのです。
2) 医療連携のキイに訪問看護ステーションを活用する。
医師は普段から自分以外が主治医の患者さんの情報を持つ必要はありません。必要になった時には訪問看護ステーションの看護師が同時に動き情報を提供し、初めての患者家族へのつなぎの役割も果たします。患者家族にしても具合悪い時に初めての、自分のことを知らない医師の診察を受けることはストレスですが、なじみの看護師がそれを救うでしょう。
3) 病院病床の一部をナーシングホームとして活用する。
10年以上病院医療から離れた医師にとって在宅医療で行わなければならないことは、もうだいぶ前にやっただけで今はでなくなっていることがたくさんあるのです、私は診療所医師の廃用症候群と言っていますが多くの高齢の医師は能力的に今の在宅医療には対応が出来なくなっているのではないでしょうか。病院の病棟を開放して院外主治医を認め、病院の検査機能の利用を自由にし、病棟管理は看護師にゆだねることを提案します。(それをナーシングホームと言いました。)
削減する費用の半分程度は、訪問看護ステーションへの加算を検討してください。
これら訪問看護ステーションの機能にさらにショートステイ・デイサービスを付け加えたもの(在宅サービスステーション)・看護外来(外来で看護サービスを提供し、健康維持予防に看護力を発揮させようというもの)など看護サービスを核として医療モデルを図8のように描いています。
介護保険制度の問題
介護保険制度のもとで各種のサービス事業の質をどう担保するかという点で根本的に考え方を変える必要性を訴えます。
保険給付であることから給付が適正に行われることを監視する責任があるとの考えがベースにあり、不当に利益をむさぼったり、劣悪なサービスの提供を行ったりする事業者が出てこないように指導を頻回にしたり、事実関係の報告を事細かに事業所に要求したりしているのが今の考え方かと思われます。
問題は介護保険の中に競争原理が働かないことです。
残念ながら現在のシステムは介護支援専門員を市民が選ぶことが困難な状況が作られています。介護支援専門員間の競争が起こるようなシステムへの返還が必要です。
介護支援事業所に対する給付がもっと高くする必要があります。現行の点数設定では他の事業所から独立しての経営が困難であり、事業所のひも付きからの脱却が困難です。
また高い点数設定はケアマネ希望者の増加につながり競争がおのずと強化されます。
ケアマネの競争は、事業所の選択につながり引いては事業所の競争に結びつくはずです、事業所間の競争が行われれば指導などほとんどしなくても不良業者は淘汰され、役人の仕事も減らせるはずです。